ラプア 第4話

解放

わたし達が食堂に着いた頃、すでに他の幽霊が多く集まっていた。

「よう、城内は面白かったか?」

話しかけてきたのはラウンで、そこにはラウンをはじめとした白くて丸っこい、オーソドックスな幽霊たちが八人座っていた。スタが言うには、彼らはいずれも何かの病気が原因で亡くなった霊らしく、一人一人が固有の霊力を持つらしい。例えば、ラウンであれば見ただけでその人の個人情報が分かり、他には自由に物を浮かせたり、霊化しなくても人間界の物を触ったりできる幽霊なんかもいるらしい。

ご飯は全員揃ってからという決まりがあるらしいので、わたしはぐぅと鳴るお腹を押さえつつ、色々な幽霊達と会話を楽しんだ。どうやら、幽霊の姿は死ぬ直前の状況によって変わるらしく、死因が寿命の場合は人型、やけどの場合は火の玉型、病気の場合はラウンのようなオーソドックス型、事故の場合はその人が生前に大切にしていた物の霊になるそうだ。さらに、人型の場合は亡くなった年齢に関係なく最も思い入れのある時期の姿になるらしい。などと聞いているうちに、杖の幽霊が食堂に入ってきて全員揃ったので、デルリがサラダを出した。

「今日から新しく彼女、ビーが仲間に入ります。というわけで、今回は彼女に音頭を取ってもらいましょう!」

「え?」

「はい、それでは手を合わせて大きな声で、」

「い、いただきます!」

「いただきます!!!」

最初の料理はサラダ、なのだが、わたしが今までで見たサラダとは訳が違う。きれいで、装飾品のようなお皿、おしゃれな野菜やドレッシングの盛り付け方、シャキシャキというはっきりとした歯ごたえがわたしの五感を刺激する。それだけでも有り余るほど食事を堪能できたのだが、もっとすごいのは肉料理だった。出てきたのはチキンのソテーで、バターのいい香りがした。ナイフを当てればすうっと軽い力で切れ、口に入れた時の鼻から抜ける風味、やわらかな鳥肉の食感、噛めば噛むほど広がるソースの味、どれをとっても一級品だ。これを味わうことができないスタがかわいそうに見えてくる。本当にそれぐらいうまい。今日はサラダと肉料理だけだったが、誰かの誕生日などの特別な日には、その人(幽霊)の好みに合わせてフルコースを振舞ってくれるらしい。

食事が終わってポリュビオスがスタとラウンを呼んで、わたしの城内案内を続けた。連れていかれた所は、このテーチ城の開かずの扉だった。この城に長いこと仕えているポリュビオスでさえここが開いているところは見たことがないらしく、今まで誰が押したり引いたりを試してみても一向に開くことはなかったという。

「へ~、奇妙な扉ですね。ちょっとわたしも試していいですか?」

ときくと、ポリュビオスは

「もちろん。」

と答えた。わたしがなんとなく扉のドアノブを捻ってみると、ガチャッという音とともに扉が開いた。

拝啓、天国のお父様、お母様へ。今日はとても久々に美味しい料理を食べました。お母様の料理には劣りますが、最高の食事ができました。ビーより。

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