ラプア 第9話

スズメバチ

目の前で見たものは、まさしく亡くなった両親そのものだった。

「元気だったか?ベアトリクス。乱暴な親戚のところへ引き取られたって言うから、心配してたんだ。」

「大丈夫?あれからケガとかしてない?風邪とか引いてない?ビーったら昔っから体弱いんだからあんまり無理しちゃ、ダメよ。」

「うわああああああん!」

会いたくて、会いたくて、会いたかった両親が今ここにいるのが正直、信じられない。今まででいっっちばん大粒の涙が流れて、止まらない。

急にいなくなって、見つかったときにはすでに命は無かった両親。どうしてわたしを置いていってしまったのか。何が原因だったのか。そんなことは、もうどうでもいい。わたしは両親にこんなに成長したよ、と伝えつつ思いっきり甘えたかった。

「ばだじ、ぼぶばべばびぼ…」

「まあ、ビーったら。前に比べて一段と大人っぽくなったのに、そんなに泣いてたらせっかくのかわいいお顔が台無しよ。」

わたしは涙を袖全体で拭った。すると、いつもは曇っていたテーチ城の上空が晴れて、あったかい日差しが部屋を照らした。

「だ…だって、だって。」

気付けばスタ達はいなくなっていた。もしかしたら両親との再会に空気を読んでくれたのかもしれない。

部屋の外

「おいキップ、どうしてあんなことをしたんだ?」

「スタは知らないだろうけどぉ、彼女にはこれからこの城で重大な大仕事をしてもらうからねぇ。あ、いまのはヨゲンね。で、これは謝礼の前払いってトコかなぁ。なんせ彼女は…」

「そういうことを言ってんじゃない!ビーの両親の幻を見せて、心が読めるストリンドベリを使ってありもしない会話をさせて、これがバレた時、ビーがどれだけ傷つくと思ってんだ!」

「ん?そ、そうだ!」

「そんなの、バレなければいいだけじゃないか。バレて欲しくないタネをいかに上手く隠すかがマジシャンだしねぇ。」

「よどみねーな!また。」

「今すぐにでも本当のことを言ってビーに謝れ!」

「謝れ!」

「やだ、って言ったら?」

「黒コゲにする!」

「君もジコチュウだねぇ。」

「うっせぇ!」

「スゥウウウウッ、ボウッ!」

「えっと、水のカードはこれ、っと。」

「ピカーン、ジュワッ!」

「コンニャロウ!次は…」

「待ちなさい!」

「待たねーよ!」

「待たないよぉ。」

「…そうですか。できれば手荒なマネはしたくなかったのですがね。」

「スッ。」

「いつの間に砂と火のカードをぉ?」

「スタ、次火を吐くようなら砂のカードを使います。。幽霊である以上、これで消えはしないと思いますがとても苦しいと思います。」

「うっ。」

「それとキップ、あなたがカードを持った瞬間に火のカードを使います。紙製のびっくり箱ですから、よく燃えるでしょう。」

「あっ。」

「さて、二人の言い分はどちらも正しいわけですから、どうしますかね。」

ウソをついてまで相手を喜ばせるか、ショックを受けることをかえりみずに真実を突き付けるか、悩みどころですね。

「カボネ、いますか?」

「はいよっ!ただいま。」

「ん?何だ、このスズメバチ。」

「あれ?なんやかんやでお前もここに来てから日が浅いから知らねーのか、スタ。ポリィはスズメバチのカボネと大の仲良しでな。あのポリィの指輪を介して会話してんだ。どうやら、事の顛末はコイツとの話し合いで決めるようだな。」

「何ぃ!?」

「そんぐらいお互い信頼し合ってるからな。」

「確かに、今あいつらは話し合ってるように見えるけどカボネとか言う蜂の話については全くわからねぇ。」

「…決まりました。この件は…」



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