ラプア 第10話

始めの一歩

「この件についてはウソをついたままでいましょう。」

「なっ、何でだよ!」

「いずれはこんなウソ、バレるに決まっています。ですが、今本当の事を言うよりも後で言った方が良いとの話です。」

「意味が分かんねーよ!」

「そういう私もですが…」

「ブ~ン!」

「彼の虫の知らせのようです。」

「余計に分からねぇ。」

「幽霊である以上、この城で何やら大きな事が起こりそうな雰囲気は感じるでしょう。カボネ曰く、ビーがそのカギを握っているとの事ですから、この事と一緒に話してしまっては彼女は精神的に追いやられてしまいます。彼女のためです。」

「…納得はいかねぇ。けど、従うしかねー。砂のカードを食らったらひとたまりもねーし。」

「じゃあ、ビーが戻って来次第、再度ここに集合ってことでいいかなぁ?」

「それでいいでしょう。では。」

…やっと会えた両親だけど、何か引っかかる。皆がウソをついているとは思いたくはないんだけど、何か違う気がする。部屋から見える中庭には斑模様のチューリップが咲いていた。

両親はちょうど3時間後の10時20分にゆっくりと姿を消していった。わたしは部屋を出ることにした。

「ガチャッ。」

「お待ちしてましたよ、ビーさん。いきなりで悪いのですが、一つ、お聞きしたいことがあります。」

「何ですか?」

「あなたは、ここに来てから何か変わったことはありますか?」

「えっと、幽霊のみんなに会って、今までの嫌だった思い出が吹っ切れたことです。」

「なるほど。それは良かったですね。ですが、私が聞きたいのはそうではなくって、何かしら感じたことはないか、ということを教えてもらいたいのです。」

「うーん。…そういえばあの開かずの間の扉を開けた時に今まで感じたことがないような、何と言うか存在してない何かを感じたことかな。」

「私が聞いていたことはまさにその事です。あの扉を開けた事が決定的な出来事だったようですね。やはりあなたはこの城の…いや、少し早まり過ぎましたね。」

「…ポリュビオスさん、わたしに三つほど隠していることがありますよね。全部教えてください。」

「…それなりの覚悟が必要ですが?」

「構いません!」

「やっぱり、ごまかすのは無理そうでしたね。順を追って話しましょう。まず一つ目ですが、あなたはパーロット様の子孫です。あの扉はパーロット様が霊力によって鍵を閉めたものです。霊力は、全く同じ霊因子がないと解除できません。子孫であれば先祖の因子をもれなく受け継いでいますから、あの鍵を開けられます。もしかしたら、あなたがこの城に迷い込んだのも単なる偶然ではないのかもしれません。」

「…本当の事、なんですね?」

「まぎれもなく。それと、最近この城内で私達では到底量り知れない霊力が流れ出しています。もとより私達もこの城の全てが分かっているわけではないので、私達の知らないどこかで何かが動き出していてもおかしくは無いわけですね。これについては私も詳しく分かっている訳ではありませんが、ビーさん、あなたがカギを握っているようです。そして最後はうすうす感付いていたかもしれませんが、あなたが会った両親は幻です。」

「…わかってたけど、…それだけは言わないで欲しかった…」

「今日はもう遅いですから、ゆっくり休んで下さい。明日からは徹底的にあなたの霊力を鍛えるので、そのつもりでいて下さい。では、おやすみなさい。」

わたしはこの城での、ホントの意味での、始めの一歩を踏み出した。

拝啓、天国のお父様、お母様へ。ホンモノじゃなかったけど、ほんのちょっとの時間だったけど、また会えて嬉しかったです。ホントに会えるのはまだずうっと先だけど、その時は最高のお話を持って来ます。ビーより。



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