ラプア 第13話

創始者

「あっ、あれ!!」

「ポリィだ。間違いない。」

「ひっでぇキズだ。おい、生きてるか?おい!!」

「揺さぶんな、ポム。こいつはちょっとやそっとじゃくたばりはしねぇ。放っときゃ目ェ覚ますからよ、大丈夫だ。」

死んだら承知しねえかんな、ポリィ。

「ポリィをこんなにするってヤバくないか?」

「ヤバいな。それよりもこんな奴がここにいたってことが驚きだ。」

「…わたし、心当たりがある。」

「ポリィをこんなにした奴か?」

「うん。」

「誰だ。」

スタの炎の色立ちが一層赤くなりだした。

「フリンジって人で間違いないはず。」

「はあ?そいつはポリィの時代の人間だろ?今更生きているはずなんかないだろ。なんだ?まさか幽霊になっているとでもいうのか?」

「ビーの言ってることが本当ならそのまさかだろうな。」

「…彼女は、この城を消すつもりよ。大切な家族を変えてしまったこの城を!!」

「え?…おい!何でそんなこと分かるんだよ!!」

「何でか分からないけど、何かがそう伝えてる。」

「ビー、そいつは霊力の感知だな。」

「はーん、ついさっきまでは消えたワイすらも感知できなかったのに今じゃこれか。ずいぶんとサマになったもんだな。」

「元城主の霊力はハンパじゃなかったとポリィが言ってたしな。子孫なら頷ける。」

「だったら話がはええ!…みんなの、そしてビーの、大切な場所を消させるわけにはいかねえ!」

「待った。あのポリィでさえ無理なのに三人じゃ無理だろう。増援を呼ぼう。」

「ワイがみんなを呼んでくる!ワイなら声デカいからすぐに呼べるはずだ!」

「分かった。頼んだ、スタ。」

「…本当にひどいケガだな。今からこんな奴相手にすると思うと…みんな集まっても勝てるだろうか。」

「そんなこといっても…勝てば今まで通り、負けたら…どうなるんだろう。」

「…勝てるか、じゃなくて勝つしか道はなさそうだしな。」

「ダレダ?ソコニイルノハ。」

低く響くどもり声はわたしたちの背筋を冷たくくすぐった。そして周りには斑点がかったチューリップが妖しく咲きだした。

「この子、間違いない。あの時見た…いや、私の先祖のフリンジね。」

「…ホウ。キサマガワタシノ…」

「お願いがあります。ここから…出て行って下さい。」

「…ソレハ、ムリナハナシダナ。キサマナラワカルダロウ、リユウナド。」

「ただ不可解なことが一つだけ。幽霊になった理由は多分、この城の未練ってやつだと思う。でも、人型の幽霊になるというのは分からない。人型っていうのは寿命が原因で亡くなった場合のもの。だけどあなたは悪い商人に殺されたはず、なのになぜ…」

「ワタシハネ、ニゲタンダ。マヨナカニヤツガヨッテイルナカメヲヌスンデ、イキルタメニ。」

「…そう。」

「ナンダソノカオハ!!」

「かつてのわたしも…そうだったから。意地悪な親戚に奴隷のように働かされて、わたしの生きる意味って何なんだろうって。どうしても見つからなくって、わたしは逃げた。死ぬために。」

「!!」

「でもわたしはここで生きる意味を感じた。お互いの信頼の上で必要とされている、必死で生きる必要なくみんなが気ままに暮らせる…そんな場所なの、ここは。あなたが求めていたのはこういうところだったんじゃないの?」

「ソウダ。ダケドワタシニハソンナバショハ、ナカッタ。コレハフクシュウダ。ワルイコトハイワナイ、ゼンインココカラタチサレ。」

「…それがあなたの意見ってことね。…戦わないすべなんて、ないのね。」

「ソウダ。ワタシガカテバコノシロハショウメツ、キサマガカテバ…スキニシロ、コンナトコ。」

「だったら、いくよ。まだ安定したわけじゃないけど、これがわたしのフルパワー!! 霊の弾、名付けてレイバレット!!!」

「おおっ、さっきよりもパワーもコントロールも大違いだ!本当に呑み込みが早い!!…ゴ、ゴホン。やるな。」

「ナニカトオモエバソンナモナカ。ポリィノホウガヨッポドリッパナモノダッタゾ。」

「パチン。」

彼女はわたしのフルパワーをいともたやすく弾いてしまった。

「レイリョクケンキュウノソウシシャデアルパーロットノジツノムスメデアルコノワタシガ、ナンダイニモワタッテチノウスクナッタコムスメニマケルワケガナイダロウ。キサマガポリィノヨウニナルノモ、ジカンノモンダイダ。」

霊力研究の創始者だか何だか知らないけど、まだ霊力の全貌についてはいまだに分かっていないはず。だったら、勝つにはそれを明らかにするしかない。だって…だってみんなのためにも絶対に負けるわけにはいかないもの!!

「死んでたまるかああああああっ!!!!!」

急にビーの指先が激しく光り始めた。

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