自由ー中場(JIYU-TYUBA) TAKE16

「最後はTAMAね。」

「タタタタタタッ!」

「はいっ!」

「はいお疲れ。

あ、カメラマンとか機材担当のTAMAです。僕は大体喋るときはプラカードを通します。カンペにもちょうどいいシークレットシューズ。」

「いや走れやあああああああああぁっ!!」

TAKE16

リレーでバトンを落とした時の空気は異常

「え?ちょっ、…何で走らないの?」

「走りながらカメラ持つとブレブレになるし、そもそもカメラとプラカード持ったまま走るっていったい何の拷問なノーベル平和賞。」

「…まあ確かにそれもそうなんだけどさぁ、一番最後で出演者差し置いて一人だけ違うことやってるのはちょっとマズい気がするんだよなぁ。」

「それもそうね。」

「よっし、じゃあ今回の紹介動画のテーマ考えよっか。」

「リレーは却下で頼むぞ。被ってるしひどいし。」

「ウ~ン、一人ずつダンスをするとかドウ?」

「お~、アリだな。ダンスってコンテンツは「踊ってみた」だとかステップ講座だとか多岐にわたった動画が…あったからな。」

「…動画法って規制激しいのなッピ。」

「まあすでにぃ、動画法犯してる俺達にはカンケーないんだけどなぁ。ってわけでアン!何か案はないのか?なんつって。」

ケイの急速冷凍スイッチが作動した。お酒が入っていなくてこれはある意味勇者だ。

「そうねぇ…モールス信号で紹介するなんてどう?」

「…アンに聞いたのが間違いだったわ。」

「だなッピ。」

「何よ、じゃあそういうピョコルはどうなのよ。案すら出せなかったら人のこと言えないんだからねっ。」

「分かっているッピ。そうだな…拙者はMVを推すッピ。」

げっ、俺めっちゃオンチなんだけど。

「おぉーっ!MVかぁ。いんじゃねぇ?音楽聞くの嫌いな人ってそんなにいないしさぁ、物によっては再生回数一億を超えたりなんかもするしな。さっきのカノンのダンスって意見も取り入れれば立派なPVにもなるよな。」

「…ソレハいい意見ネ。一人ズツ自己紹介パートを割り当てて歌うってのも面白ソウネ。」

「拙者もその折衷案、良いと思うぞッピ。」

「モールス信号も取り入れようよ!」

「それはいらない。」

「僕もPV形式には賛成ダームスタチウム。」

「よし、じゃあ決まりか…」

「ダメだ。」

「ん?ケイ。何がダメなんだ?」

「いや俺はダンスは良いと思うんだけど音楽ってのがなぁ、ちょっとウケを狙いすぎてんだと思うんだよ。」

「何言ってんだ?紹介なんだからウケを狙いに行かないと見てもらえないだろ。」

「ウケならいろいろあるじゃねーか。ほうれん草ゲームとかタケノコニョッキとか…さあ。」

「それ飲み会でウケるヤツだから!」

「でもよ、作曲とかできないだろ?」

「アタシピアノやってたからそれなりにできるワヨ。」

初耳だよカノンがピアノやってたなんてさぁ!!もうこれケイ先生の初耳学認定だよ!!…そうだ!

「でも素人がいきなり作曲ってのは敷居が高すぎる気がするんだ。カノンの仕事ふえるしさぁ…」

「ええっと、今週の収益は…っと。」

「カタカタ。」

「あー、5000万円ぐらいあるわね。これなら作曲してくれる人も見つかるだろうし、何ならオーケストラとかも雇えるかもね。」

ガチじゃねーか!つーかただの素人のPVにオーケストラとか本気で言ってんのか全く、…大恥かくわ!もう恥かく自信に満ち溢れてるよ。

「イヤオーケストラはもっとする、と思ウ…」

よっしカノン!ナイスプレーだ!

「う~ん、結構するっていうもんねぇ。まあ、だとしたら代わりにパソコンのシンセ音源使えばいいだけね。…確かにちょっとしたPVのためにオーケストラってのもちょっとおこがましいというか贅沢すぎるわよね。」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!

もうPVの内容ダンスMV不可避じゃねえ?ここはもう、話をそらすしか…

「だよな~。ところでさぁ、歌と言えば自分を書き表した短歌を作るなんてのはどうだ?」

「却下。」

何でだよ。

「ケイよ、さっきからPVの内容に不満があるようだが、何がそんなに引っかかるのだッピ?」

「いや、なな何でもねえよ。ただちょっと音楽はダメそうな気が…そう!さっき音楽にしたら呪われるってお告げが降りてきたんだよ!」

クソォ、何が何でもMVだけは避けないと…

「はいケイ、ウソ乙。さっきからMVを否定してるのって絶望的にオンチだって自覚してるからでショートヘア。」

「そ、そそそそんなわけないだろ…」

「ソウいえばケイ、カラオケ行ったときひどかったワネ~。音程モリズムも絶妙に合ってないとイウカ…」

「げっ。」

「確かに。前一緒にテレビ見た時にやってたスキップとか左右で違う動作を繰り返すやつとかもできてなかったわね。ああいうのってリズム大事っていうしね~。」

「げげっ。」

「そーいやケイに音ゲーやらしたらひっどいスコア取ってたしなぁ。」

「げげげっ!」

もう勘弁してくれよ…

「でも拙者はケイの歌う歌は悪くないと思うぞッピ。確かにオンチではあるけど何というか…他の誰にも出せないような深い味のようなものがある。下手なことを単に下手だって切り捨てるのは、芸術を根本から楽しんでいないのと同じことだッピ!」

「…あ、ありがとうピョコル。」

「例には及ばないッピ。ケイにはケイらしいオリジナリティーがあるってことを言いたかっただけだッピ。」

「じゃあ私達の自己紹介PVはダンスMVで決まりでいいわね?」

「いや、それとこれとはちょいとワケが…」

「い・い・わ・ね?」

「…はい。」

ひでえなおいッ!!