ラプア 最終回

La Pua

あれから五年経った今も、わたしはあのことをはっきりと覚えている。テーチ城で過ごした、幽霊たちとの日々を。

あれからすぐにポリィが目覚め、晴れた城の庭にはピンク色のチューリップが咲いて城をより一層彩っていました。スタは泣いて喜んでいました。流した涙はすぐに蒸発していたけどね。デルリは渋った顔をしていましたが、内心嬉しいと思っていたのというのはわたしだけでなく、みんなが察しているようでした。相棒のカボネは羽音をきれいに響かせてみんなの心を癒してくれたようです。

後日、わたしはこの城を出ることにしました。親戚の家を出るときに持ち出したカバンの中にもともと入れていた日記、切符、携帯食とわずかなお小遣いに加えてキップからもらった一枚の太陽に照らされたチューリップが書かれたカードを入れて。と思ったら携帯食が中でボロボロになっていたのを見かねたポリィが新しいものに取り替えてくれました。旅に出る前からすでにわたしは新しいわたしを見つけたい気持ちでいっぱいになっていました。そんなわたしを、幽霊の皆はあたたかく送り届けてくれました。本当にありがとう。旅立つ私の前には陽の光に包まれた虹色のチューリップが咲き誇っていました。城門を出て振り返ると、もうそこにはわたしを変えてくれたあの城の姿はありませんでした。

「あれは、もしかして…」

そう思っていたらカバンの中にしまっていたカードが光りだした。

「ありがとう、みんな。がんばるよ。」

こうしてわたしは忌まわしくも最高のこの町を去った。

それからわたしはとある老夫婦に引き取ってもらい、さらには学校にまで行かせてもらった。そうして高校を卒業して、仕事をして落ち着き出したちょうどこの頃、改めてこの町に来ることになった。もう一人とともに。

駅を降りて左に曲がって十分ほど直進、そこから右に曲がって直進すると出てくる森の中を進んだ先の先にあるのがテーチ城だ。五年経った今では町の雰囲気がかつてとは全く違い、忌まわしき親戚の家の周りは大きな工場に変わっていた。わたしは、もう一人の手を引っ張ってテーチ城に向かった。

「ホントにこんな森の奥にあるの?」

「間違いないよ、消えてないときだったらね。」

「消えてないとき?」

「いつも出てるわけじゃないの!」

「まあビーがあれだけ言ってるからね、信じるよ。」

「あ、…あった!!」

その城には光が差し込んでいた。

「立派なもんだな~、でも僕なんかが来ちゃってだいじょうぶかなぁ。」

「心配しないで、みんなやさしいもの。」

「ギイィィィィ、バタン!」

城門を抜けた先には色とりどりのチューリップが一面に広がっていた。

「ただいま!」

「おや、ビーさん。お久しぶりですね。これまた、一段と美しくなって。」

「えへへ。」

「ここで話すのもなんでしょうから、城内へ案内しますよ。みんなもビーさんに会いたがっているでしょうし、ちょうど晩御飯の準備をするところでしたから。せっかくなので召し上がってください。」

「…彼がポリィって幽霊?」

「そう!みんなのリーダー的存在なんだよ。」

「へえ。」

「…お待たせしました。まだだれも来ていませんがここでゆっくりして下さい。」

「ガチャッ!」

「よお、ビー!」

「スタ!」

「お久しぶりですねぇ。」

「キップ!」

「どうやらあの時渡したカードはぁ、まだ使わずに大事に取っておいっているようですねぇ。使わないのか、使えないのかは分かりませんがねぇ、まだカードの霊力が感知できまぁすから。それと、そこにいるボォイは誰でぇすか?」

「彼はね~、わたしのダーリン♡」

「マジか、あのビーが…ワイ、ここ数年で一番驚いたかもしれんわ。」

「ヒドッ!」

「オイそこのボウズ!どこの馬の骨か知らんが、ビーを幸せにしなかったら黒コゲにしてやるからな!覚悟しとけよ!」

「は、はい!!」

「よろしい。」

「そろそろ、みなさんが来るころあいですね。」

「ガチャッ!」

拝啓、天国の父様、母様へ。わたしは今、すっごく幸せです!!

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